血液内科とは
血液は、酸素を運搬する赤血球、細菌やウイルスなどの病原体と戦う白血球、出血を止める血小板や凝固因子などで構成されています。
これらは、生物が生きていくために大変重要な役割を担い不可欠なものです。そのため、血球等の数が減少したり、機能が低下すると、生命にもかかわる危険な状態になりかねません。血液内科は、このような重要な役割を担っている血液の病気を扱う診療科です。
白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの悪性疾患だけでなく貧血、あざ、内出血、鼻血などの身近な病気も診ています。
「貧血でしんどい・・」「出血がとまりにくい・・」「健康診断で血液の異常値を指摘された・・」などのお悩みの方はご相談ください。
血液内科専門医として、病気についてわかりやすく説明を行い治療にあたります。
治療については、大阪医科大学附属病院と連携しながら外来化学療法(抗がん剤治療)や赤血球輸血も行っています。
また、診断の上、入院、精査を要する際は、大阪医科大学附属病院など関連施設へご紹介いたします。
気になる症状がある時は、放置せず早めにご相談ください。
こんな場合はご相談ください
- 貧血でしんどい
- 出血が止まりにくい
- あざや内出血ができやすい
- 鼻血がよく出る
- 健康診断で血液の異常値を指摘された など
血液内科の主な対象疾患
血液内科では、血液疾患全般を対象とし、下記のような異常を診療します。
- 血液細胞の異常
- 出血を止める働き(止血)の異常
- 血液細胞を作っている骨髄の異常
- リンパ節の異常
主な対象疾患としては、白血病、悪性リンパ腫、貧血、血小板の異常などがあります。
血液内科で扱う疾患には、いわゆる難病が多いため、診断と治療には専門的な知識と経験が必須となります。
貧血
赤血球の中の赤い組織であるヘモグロビンは、肺で取り込んだ酸素を全身の細胞に供給する大切な役目を担っています。このヘモグロビンが少なくなってしまい、全身に十分な酸素を供給できなくなってしまった状態を貧血と言います。
貧血を招く疾患には様々なものがあります。けがや病気のために血管が破れて出血すると、血液が失われるため、貧血を起こします(出血性貧血)。ヘモグロビンをつくるための材料である鉄やビタミンなどの欠乏から起こることもあります(鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血)。赤血球は骨髄でつくられ、約120日間の寿命がありますが、その途中で壊れて溶けてしまうことがあります。これにより赤血球の生成が追いつかなくなると貧血を起こします(溶血性貧血)。この他にも、いくつかの型の貧血が知られています。
貧血の主な症状には、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、疲れやすいなどがあります。
診断は主に血液検査によって行われますが、ケースによっては原因を詳しく調べる必要が生じてきます。
治療法は原因を取り除くことですので、原因が何かによってそれぞれ異なってきます。
血小板の異常
血液中の血小板は、血管が破れて出血すると、破れた箇所に集まって固まり、出血を止める働きをしています。
血液中の血小板数が著しく低下すると、出血をきたしやすくなります。逆に、数量が著しく多くなると、今度は血液が固まりやすくなり、血液が固まってできた血栓が血管をふさいで脳梗塞や心筋梗塞などを発症する危険性が高くなります。また、血小板の機能が異常となり、数量があっても止血効果が小さくなることもあります。
こうした血小板の異常な増減や凝集能力の異常には、その陰に重い疾患が隠れていることも少なくありませんので、血液内科で精密検査を受けることが大切です。
白血病
血液の製造工場である骨髄において異常な細胞(白血病細胞)がどんどんつくられる疾患で、「血液のがん」とも呼ばれます。異常な細胞が体の様々な臓器にダメージを与えるとともに、骨髄ががん化した細胞を生み出すばかりになって、正常な血球をつくれなくなります。すると、体じゅうに酸素を運んでいる赤血球が減少して、だるさ、息切れ、動悸といった症状が起こりやすくなります。白血球が減少すると、外から侵入してくる病原体への抵抗力が弱まり、肺炎などの感染症にかかりやすくなります。血小板も減少するため、血が止まりにくくなって鼻出血や歯ぐきからの出血を起こしたり、何もしていないのにあざができたりします。また、異常な細胞が集まることで肝臓や脾臓(ひぞう:主に血液中の古くなった赤血球を壊す働きをしている臓器)が肥大したり、骨の痛みが生じたりすることもあります。
この疾患の原因についてですが、抗がん剤や放射線などの治療後に起こる「二次性白血病」もありますが、大部分の白血病は原因不明です。
診断にあたっては、血液検査や骨髄検査を行います。診断が確定したら、早急に抗がん剤などによる治療を開始する必要があります。
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は、リンパ系の組織から発生する腫瘍(がん)です。リンパ系組織とは、ヒトの免疫システムを構成するもので、リンパ節、胸腺、脾臓、扁桃腺などの組織・臓器、リンパ節をつなぐリンパ管、およびその中を流れるリンパ液から成ります。リンパ系組織を構成する主な細胞は、リンパ球という白血球の一種です。リンパ液の中には液体成分とリンパ球が流れています。リンパ系組織は全身に分布していますので、悪性リンパ腫は全身に発生する可能性があります。
症状としては、リンパ節の腫れ、特に首のリンパ節の腫れがよく見られます。全身的な症状として、発熱、寝汗、体重減少を伴うことがあります。これら3つの症状を「B症状」と言い、重視されます。かゆみを伴うこともあります。その他、発疹、しこり、様々な場所の痛みで発見されることもあります。
診断にあたっては、血液検査、画像検査(CT、MRI、PETなど)、骨髄検査、リンパ節生検などが行われます。
悪性リンパ腫の治療はそのタイプと進行度に応じて、放射線療法、化学療法(抗がん剤)、造血幹細胞移植などが行われます。経過観察をすることもあります。
多発性骨髄腫
多発性骨髄腫は、骨髄(骨の中心部にある造血組織)の「形質細胞」というリンパ球が腫瘍化する病気で、50歳以上の中高年に多く見られます。
形質細胞は、本来は抗体(免疫グロブリン)を産生する細胞です。しかし、多発性骨髄腫になると異常な抗体(M蛋白)を産生し、正常な抗体の量は、むしろ少なくなります。そのため、免疫力の低下を招いてしまいます。
多発性骨髄腫の最も一般的な症状は、背中や腰の痛み、貧血による倦怠感です。ただし、初期には症状が乏しいため、健診などで偶然発見されることもあります。
多発性骨髄腫が疑われる時には、血液・尿検査、X線検査、骨髄穿刺(せんし)などの検査が行われます。治療には、主に抗がん薬や放射線を用います。